ナチス・ホロコーストを描いた隠れた名作映画ランキング

2位 「ヒトラーの忘れもの」(2016年)

 

ヒトラーの忘れもの(字幕版)

主演はローラン・ムラ。共演はルイス・ホフマンなど。1945年、第二次大戦後のデンマーク。ナチス・ドイツが大西洋側の海岸沿い約400kmに渡って埋めた地雷撤去を命じられたのは、ドイツ軍の撤退で異国の地に置き去られたドイツの少年兵たちでした。彼らを指揮することとなったデンマーク軍の軍曹ラスムスン(ローラン・ムラ)は、地雷撤去のために集められたドイツ兵11人全員が地雷を扱った経験がなく、まだあどけない少年なことに驚きます。ですが、自身の部下をナチス・ドイツとの戦いで多く失っている経験から、彼らに容赦ない暴力と罵声を浴びせます。しかし、過酷な任務をやり遂げ祖国へ帰ることを夢見ながら一人また一人と命を落としていく少年兵たちと接するうちに、彼らにその罪を背負わせることに疑問を抱くようになっていきます。ラスムスンは少年兵たちの帰郷を信じて歯を食いしばり頑張る姿に、すべての地雷を撤去したあかつきには故郷へ還してやろうと誓いますが・・・。

ヒトラーの忘れもの [DVD]

ジュネーブ条約で捕虜への地雷撤去強制は禁じられていましたが、デンマークはドイツの「モデル保護国」、つまりデンマークの独立は保ったまま、ドイツの支配下に置かれている状態だったため、ジュネーブ条約が適応されず、イギリスからの圧力があり、このような悲劇が生まれました。個人的には、映画「ハート・ロッカー」「プライベート・ライアン」などより、数倍観るのが辛いですし、緊迫感が半端なく呼吸するタイミングがない作品です。空は高く海は青く砂浜は白いのに、誰も空も海も見ていない、心が繋がりそうになっても敵と味方に引かれる一線が切なく、国と人は繋がってはいるけれど、その足並みが大きくずれていくのが戦争なのだと思い知らされます。2017年度米アカデミー賞外国語映画賞ノミネートの秀作です。

タイトル:「ヒトラーの忘れもの」
2016年12月17日(土)シネスイッチ銀座ほかにて全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
公式サイト: http://hitler-wasuremono.jp/

3位 「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」(2017年)

 

映画チラシ ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命 ジェシカ・チャステイン

主演はジェシカ・チャステイン。共演はダニエル・ブリュール、ヨハン・ヘルデンブルグなど。ユダヤ人300名を動物園に匿い、その命を救った女性アントニーナ・ジャビンスカをあなたは知っていますか?1939年、ポーランド・ワルシャワ。ワルシャワ動物園を営むヤン(ヨハン・ヘルデンブルグ)とアントニーナ(ジェシカ・チャステイン)夫妻。一人息子に恵まれ、動物園の経営も順調でしたが、その年の秋にドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発します。動物園はドイツの監視下に置かれることとなる中、アントニーナはワルシャワ・ゲットーに出入りするヤンからユダヤ人を救出し、動物園に匿うことを提案されます。日中、夫のヤンは不在で、ヒトラー直属のドイツ人動物学者ルッツ・ヘック(ダニエル・ブリュール)が家に出入りする中、アントニーナはいかにして300名ものユダヤ人を匿い、命を救ったのでしょうか?

ユダヤ人を救った動物園——ヤンとアントニーナの物語 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

映画「ゼロ・ダーク・サーティ」「女神の見えざる手」など、これまで力強い女性を演じてきたジェシカ・チャステインが、戦わずして守り抜く女性目線での戦争を、物腰柔らかで女性らしい雰囲気をまとい、新たな魅力で演じています。この映画の1つ目のポイントは、ジェシカを含め、監督、脚本、プロデューサーなど制作陣のほとんどが女性で、戦争シーンこそ少ないですが、緊迫感たっぷりに描かれ、女性目線でのホロコーストが描かれていること。2つ目のポイントは、アントニーナも含め、戦争に関わった人々は皆、被害者であり加害者にもなりうるということがリアルに描かれ、今の時代、映画の中の話だけではないと痛感させられます。一般にホロコーストというとドイツ人が「悪」として描かれますが、ユダヤ人を匿うためにアントニーナがドイツ兵を欺くと夫婦で決めたはずなのに、そのことでアントニーナはヤンから責められたり、アントニーナもまたユダヤ人を守るために、自分に好意を寄せるヘックの恋心を利用し、敵を欺こうとします。ルッツ・ヘックは戦前から夫婦と親しくしており、博識で道徳的な実在の動物学者なのですが、戦争により無理やり価値観を歪められ、アントニーナにも傷つけられ、彼らの関係は大きく変わっていきます。戦争とは人間関係も信頼も愛さえも壊してしまうものなのだと痛感させられます。世界で最もユダヤ人迫害が酷かったポーランドのワルシャワ・ゲットーからたった2kmの場所でユダヤ人300人を守り抜いた、兵士でもレジスタンスでもないごく普通の女性アントニーナ・ジャビンスカの勇気と感動の実話です。

タイトル:「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」
2017年12月15日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほかにて全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
公式サイト: http://zookeepers-wife.jp/

4位 「少女ファニーと運命の旅」(2017年)

 

【映画パンフレット】少女ファニーと運命の旅

主演はレオニー・スーショー。1943年、ナチス・ドイツ支配下のフランス。12歳のユダヤ人の少女ファニー(レオニー・スーショー)は幼い二人の妹とともに、協力者が密かに運営する児童施設に匿われていましたが、密告者の通報により、子どもたちは別の施設に移ることに。しかし、そこにもナチスの手が迫っていたため、ファニーたちは汽車で逃げますが、ドイツ兵の厳しい検問により引率者とはぐれてしまいます。見知らぬ駅に取り残された9人の子どもたちのリーダー役となったファニーは、バラバラになりかける子どもたちの心をひとつにし、いくつもの窮地を勇気と知恵で乗り越え、ひたすらスイスを目指します。しかし、追っ手は彼らのすぐそばまで迫っていて・・・。実在のユダヤ人女性ファニー・ベン=アミの自伝に基づく勇気と感動の実話。

ファニー 13歳の指揮官

ファニー役のレオニー・スーショーを始めとして、末っ子のジョルジョット(ジュリアーヌ・ルプロー)、4歳のラシェル(ルー・レンブレヒト)など9人の子どもたち全員が美男美女。皆天使のように可愛らしく、共感性を高めるために、可愛い子が選ばれたのかと思うほどです。皆、自分を取り巻く環境を理解しており、そのことが、彼らがそれまでどんな苦境を乗り切ってきたのかを物語っています。ユダヤ人の子どもの逃亡劇はさまざまな作品がありますが、たった13歳の女の子が就学前の小さい子どももいる9人のグループを、途中誰かを失うことなくスイスまで連れていくことがどれだけ凄いことか!しかも、原作となる実話では、なんと13人もの小学生以下の子どもたちを率いていたそうです。彼らが必死で生き抜こうと前進する姿を観て、子どもたちにこんな思いをさせてしまうことは二度とあってはいけないと誰もが思うことでしょう。直接的に残虐なシーンはなく、かといって映画「サウンド・オブ・ミュージック」のように、小さい子が観ると「楽しそう。」と思ってしまうようなものでもなく、きちんと、子どもにとっての戦争を描いているので、親子で観るのにオススメしたい作品です。

タイトル:「少女ファニーと運命の旅」
2017年8月11日(金)TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト: http://shojo-fanny-movie.jp/