同じ難病を扱った映画「8年越しの花嫁」と「彼女が目覚めるその日まで」の見どころ比較!

2018年1月18日

映画「彼女が目覚めるその日まで」あらすじ

ポスター/スチール写真 アクリルフォトスタンド入り A4 パターン1 彼女が目覚めるその日まで 光沢プリント

2009年、ニューヨーク。スザンナ・キャハラン(クロエ・グレース・モレッツ)、21歳。ニューヨーク・ポスト紙の新聞記者。未来は輝き、恋も仕事もすべては順調なはずでした。そんなスザンナがある日、突然発症した原因不明の病。眩暈や記憶障害などから始まり、幻聴・幻覚、そう鬱状態を繰り返し、スザンナは期待されていた記事のインタビューを忘れ、無意識にクライアントに暴言を吐くという大失態をやらかしてしまいます。そして、スザンナの誕生日を祝っていた夜、突然激しい痙攣を起こし、病院へ運ばれますが、MRIなどを含めた神経系検査はすべて異常なし。医師からは「精神疾患の疑い」と診断され、精神病棟への入院を勧められます。そうこうしている間にもスザンナの容態は悪化し、ついには全身が硬直し、話すことすらできなくなってしまいます。医師たちですら匙を投げかける状況の中、一人の医師がスザンナの両親と恋人スティーヴン(トーマス・マン)の言葉に突破口を見出しますが・・・。原作者であるスザンナ・キャハランの全面協力のもと、原作にほれ込んだ女優シャーリーズ・セロンが製作総指揮を務め、映画化。全米ベストセラー・ノンフィクション小説を映画化した原因不明の病と闘った一人の女性とその家族の奇跡の物語です。

タイトル:「彼女が目覚めるその日まで」
2017年12月16日(土)角川シネマ有楽町ほかにて全国ロードショー
配給:KADOKAWA
公式サイト: http://kanojo-mezame.jp/

主演クロエ・グレース・モレッツ×制作シャーリーズ・セロン

クロエ・グレース・モレッツ ポスター 約90x60cm 写真 Chloë Grace Moretz

スザンナ・キャハラン/クロエ・グレース・モレッツ

ニューヨーク・ポスト誌に勤める21歳の駆け出しの記者スザンナ・キャハラン。仕事が楽しくてたまらず、徐々に重要な記事も任されるようになり、恋人のスティーヴンとの関係も良好。両親は離婚していますが、互いのパートナーとの関係も良く、皆で集まり、スザンナの誕生日パーティーを開くなど、スザンナの毎日は幸福と未来への希望で満ち溢れていました。そんな中、原因不明の病を発症。そこから、先の見えない孤独と苦悶に満ちた闘病生活へ突入していくことになります。

本作の主人公スザンナ・キャハランを演じているのは、クロエ・グレース・モレッツ。映画「キック・アス」でのブレイク以降、様々な作品に出演してきたクロエですが、これまでは、いまひとつアイドル路線から脱却できず、苦戦しているイメージでした。そんなクロエは、本作の制作総指揮を務める女優のシャーリーズ・セロンから脚本を貰い、出演を即決。セロンと同じく本作の原作者スザンナ・キャハランが共同プロデューサーとして脚本監修も務めているので、症状に関する細部の描写やスザンナがどのようにして心を失い、取り戻していったかが克明に描かれています。

★直筆サイン★シャーリーズ セロン★Charlize Theron ●アトミックブロンド (2017) ●ワイルドスピード ICE BREAK (2017) ●スノーホワイト 氷の王国 (2016) ●マッドマックス 怒りのデスロード (2015) ●荒野はつらいよ (2014) ●プロメテウス (2012) ●スノーホワイト (2012) ●ハンコック (2008) ●モンスター (2003) ●スウィートノベンバー (2001) ●ザ ダイバー (2000) ●ディアボロス (1997)

泣き叫び声が枯れるまで叫ぶクロエ、病院職員に全員がかりで押さえつけられ、ベッドに四肢を拘束されるクロエ、原因がわからず、どんな薬を処方されても回復どころか悪化の一途を辿るのみの状況で硬直したクロエの瞳に映る絶望感は、これまでの彼女の演技では観たことがないほどの迫真ぶり。その迫力と訴えかけてくる必死さは、間違ってホラー映画に来てしまったのかと思うほど。皆が観たい可愛いクロエも良いですが、映画「リピート 許されざる者」「モールス」の時のような、観客を心の底からゾクッとさせるクロエの底力を観ることができる作品です。

また、スザンナの両親役をキャリー=アン・モス、リチャード・アーミテッジ、恋人のスティーヴンを映画「キングコング:髑髏城の巨神」のトーマス・マンが演じるなど、実直な演技が出来る俳優陣がクロエをしっかりと支えています。

映画「彼女が目覚めるその日まで」見どころ

「脳に棲む悪魔」とは?

『彼女が目覚めるその日まで』映画前売券(一般券)(ムビチケEメール送付タイプ)

本作で、スザンナが「抗NMDA受容体脳炎」を発症したのは2009年のこと。2007年には、「抗NMDA受容体脳炎」の症状に病名がつけられ、難病と認められていましたが、それでもまだ、「抗NMDA受容体脳炎」の患者を診たことがない医師がほとんどでした。スザンナも症状が出始め、仕事をすることも、家族と笑い合うことすらままならなくなっても「精神病」と断定され、拘束され、精神薬は当然効かず、体は抜け殻のように動かなくなってしまいます。邦題に惑わされてしまいがちですが、本作の原題は「Brain on fire」。原作小説のタイトルにすると「脳に棲む悪魔」なんですね。なので、本作のメインテーマは、家族や恋人の愛ではなく、いかにこの病気が恐ろしく、また診断が難しいか、誤診されてしまうとその結果、死に繋がることもあるということをスザンナの壮絶な闘病を通して観客に訴えかける現代医療に警鐘を鳴らす作品なのです。映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」は家族や恋人同士の愛をメインテーマに据えているので、アプローチ方法は違いますが、「8年越しの花嫁」を撮った瀬々監督も、本作に絶賛のコメントを寄せています。個人的には、本作で、「抗NMDA受容体脳炎」という病気の詳細を知ってから、「8年越しの花嫁」を観ると、より、後者の感動が増すので、オススメしたいです。

日本の闘病ものとの違い

ポスター/スチール写真 アクリルフォトスタンド入り A4 パターン2 彼女が目覚めるその日まで 光沢プリント

本作でスザンナは、未来あるキラキラした人生から一転、原因不明の病にかかり、病院をたらい回しにされ、本人は身体が硬直し、動くことすらできなくなり、治療方法も見つからない、まさに危機的状況に追い込まれます。しかし、スザンナがどんな奇行に出ようとも、家族や恋人は諦めずにスザンナの病気を治せる病院や医師を探し続けます。日本だったら、正直諦めムードが漂い悲嘆に暮れる状況でも、「絶対に諦めない、スザンナを救ってみせる。」という家族と恋人の強い絆がやがて、一人の医師の運命を手繰り寄せ、周囲を変えていきます。また、スザンナがバリバリのキャリアウーマンであるということも、日本の闘病ものとは大きく違う点と言えるでしょう。原作者のスザンナ・キャラハンは、発病後7か月後には、社会復帰を果たし、2017年現在もニューヨーク・ポスト紙の記者として働く傍ら、著書を執筆し、講演を行うなど精力的に活動を続けています。本作では、もちろん家族や恋人との絆もクローズアップしていますが、あくまで一人の自立した女性が、「抗NMDA受容体脳炎」という難病を患ったことで、何を失って、回復し何を得たのかを、理路整然とドキュメンタリーに近い形で描かれています。そこには、診断と治療さえ間違わなければ、きちんと治る病気を広く知ってもらおうという原作者と制作陣の強い意志が伝わってくる作品でもあります。

2作品を比較考察

映画チラシ 8年越しの花嫁 奇跡の実話 佐藤健

ポスター/スチール写真 A4 パターン1 彼女が目覚めるその日まで 光沢プリント

映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」も映画「彼女が目覚めるその日まで」も、これまで清純派女優として認められてきた土屋太鳳とクロエ・グレース・モレッツをそれぞれ主演に起用しています。二人とも闘病ものは初めてで、「抗NMDA受容体脳炎」は奇病に近い稀有な症状が現れるので、表現が難しく、女優としての勝負作となることは間違いないです。日本では闘病ものは、映画「余命1ヶ月の花嫁」の榮倉奈々、映画「瞬き」の北川景子のように、若手女優がステップアップするために挑む傾向があります。土屋もそのケースに当てはまり、見事にステップアップを成功させていると言えるでしょう。
ハリウッドでは、壮絶な闘病ものや実話系映画は、ゴールデングローブやアカデミー賞にノミネートされやすいということもあり、クロエのような若手女優だけでなく、実力派俳優として活躍する俳優が年齢問わず挑むことも多いです。映画「アリスのままで」のジュリアン・ムーアや映画「ビューティフル・マインド」のラッセル・クロウなどがそのケースに当てはまります。ですので、ハリウッドでは、闘病実話ものに挑んだとしても、よほど演技がしっかりしていないと賞レースにノミネートされることは難しいのですが、クロエは本作で、“キャリア史上最高の演技”という評も出ているので、勝負の年となるのではないかと思われます。

偶然か、「抗NMDA受容体脳炎」という病気が注目され始めているからか、同じ2017年12月16日に劇場公開を迎えた映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」と映画「彼女が目覚めるその日まで」。「抗NMDA受容体脳炎」は、日本でも年間1000人に1人が発症している病気で、決して他人事ではありません。もし、自分や、大切な人がそうなってしまったら?その時、病気や大切な人たちとどう向き合っていけば良いのか?この2作品が、病気についての理解を深め、考える良いきっかけになれば良いと願わずにはいられません。

(文 / Yuri.O)