映画&ドラマ劇伴作曲家・佐藤直紀の心震える映画音楽3選

フジテレビ系ドラマ「コード・ブルー」ドクターヘリ緊急救命 3rd seasonオリジナルサウンドトラック

最近、映画を観るたびに気になる人がいます。
2004年頃から、映画・ドラマ・CMのエンドクレジットでその名前を観ない方が珍しいほど、幅広く活躍している作曲家・佐藤直紀。
普通、俳優、監督以外の名前はなかなか覚えられないものですが、2010年頃からほとんどの日本映画で「音楽・佐藤直紀」のエンドクレジットが目に留まるので、どんな人なのだろう?と興味が湧きました。
ドラマでは「GOOD LUCK!!」「オレンジデイズ」「救命病棟24時」「コード・ブルー ‐ドクターヘリ緊急救命‐」シリーズ、アニメでは「プリキュア」シリーズ、映画では「海猿」シリーズ、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「るろうに剣心」シリーズから2017年の最新作映画「本能寺ホテル」まで、「佐藤直紀」という名前は知らなくても、作品名なら誰もが一度は聞いたことがあるという大ヒット作ばかりを手掛けている劇伴作曲家です。

今回は、過去、現在、そして未来の映画界の音楽に欠かせない劇伴作曲家・佐藤直紀のプロフィールと彼の楽曲の中でも特に心震える、作品と一体となった映画音楽をご紹介します。

劇伴作曲家・佐藤直紀のプロフィール

SYMBIONT-佐藤直紀 BEST TRACKS-

1970年5月2日生まれの2017年現在47歳の佐藤直紀。
東京音楽大学作曲科映画・放送音楽コースを卒業した後、映画・ドラマ・アニメ・CM・ミュージカルなどでロックからクラシックまでジャンルにとらわれない音楽を作曲提供し続ける日本を代表する劇伴作曲家です。
佐藤の転機となったのは、2003年に劇中音楽を担当したTBS系ドラマ「GOOD LUCK!!」。元SMAPの木村拓哉主演ドラマで使用された楽曲「DEPARTURE」は、シンセサイザーとオーケストラを融合させた楽曲で、飛行場で働く人々の躍動感と「大きな翼でさあ、飛び立つぞ!」という気合いと期待が込められた力強さでドラマとともにヒットし、学校の吹奏楽などで演奏されるようになりました。

TBS系ドラマ 日曜劇場「GOOD LUCK!!」オリジナル・サウンドトラック

その後、「GOOD LUCK!!」を観ていたプロデューサーからフジテレビ系ドラマ「海猿」シリーズのオファーが舞い込み、映画も含め、シリーズすべての劇伴音楽を担当。
「海猿」シリーズの成功で映画音楽を次々任されるようになり、大ヒット作を多く担当したことから「佐藤さんとやると当たるから。」と言われるようになります。
2005年の映画「ALWAYS 三丁目の夕日」では、第29回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。これまでの力強い楽曲とは真逆の、柔らかで思わず感傷に浸りたくなるような楽曲で映画の世界観を見事に表現しました。

2017年は、映画「本能寺ホテル」や2017年7月クールで現在放送中のフジテレビ系ドラマ「コード・ブルー ‐ドクターヘリ緊急救命‐ シーズン3」を担当。「コード・ブルー ‐ドクターヘリ緊急救命‐」シリーズの楽曲は、「海猿」シリーズの楽曲と系統が似ており、聴く人が聴けば、佐藤の楽曲だとすぐにわかるほど彼の持ち味が良く出ています。両楽曲を聴き比べてみると面白いかも知れませんね。

劇伴とは

映画・ドラマ・アニメなど一つの作品に合わせて作られた劇中に流れる音楽のことを「劇伴」といいます。
音楽がまったくない映像と台詞だけの映画もありますが、相当な実力派俳優陣やストーリーなど一定以上の条件が揃っていない限り、大抵はとても見にくいものになってしまいます。
佐藤は、自身の音楽性よりも作品に寄り添った曲を作ること、作品の伝えたいこと、テーマをきちんと理解していることが大前提だと考えており、その上で、自身の音楽がつくことによって作品が2~3割良くなるとインタビューで答えています。
映画の場合、監督やプロデューサーと打ち合わせをして「この場面のここからここまで」と秒単位で映像を見ながら曲を決めていきます。その際、佐藤は監督の言葉や台本のイメージをどうやって音楽に変換していくかが大事だと考えており、そのためには幅広いジャンルの音楽を作品に合わせて書くことのできる引き出しの多さが重要になってきます。
佐藤は、ひとつの映画音楽をすべて一人で自宅の地下スタジオで作り上げており、映画「プリキュア」シリーズのある1作品を担当した時は、最大で3週間で89曲も書いたことも。
佐藤は「天才肌」ではなく「職人肌」「努力肌」の作曲家で、何百回と同じ映像を繰り返し観てでき上がった曲を、また客観的に聴き直し、レコーディングの朝まで粘るという毎回、自分史上最高の出来を追及するなど、常に全力投球なイメージがあります。佐藤はそんな自身のことを“作曲屋”と呼び、45歳の時に受けた取材で「第一線で活躍できるのはあと10年」と答えています。それだけ劇伴の世界は競争も激しく、常に最新の音楽技術を取り入れ、クリエイティブなものが求められている世界なのです。

メガヒットを記録した映画「海猿」シリーズ

海猿〜オリジナル・サウンドトラック

2003年の映画「海猿」に始まり、フジテレビ系ドラマ放映を経て、2012年の映画「BRAVE HEARTS 海猿」まで、計4作が制作・劇場公開されている「海猿」シリーズ。
主演は伊藤英明。共演は加藤あい、佐藤隆太、仲村トオル、時任三郎、三浦翔平など。
海上保安官を目指す仙崎大輔(伊藤英明)が潜水士となり、海難救助、運命の恋、仕事仲間との友情や絆、そして死を経て成長し、海上保安官の中でも精鋭のみで構成される特殊救難隊になるまでを描いたスペクタクル・ドラマ超大作。これまでにシリーズ累計興行収入240億円を突破した日本の夏を代表するメガヒット・シリーズです。

2003年に公開された映画「海猿」は佐藤が初めて手掛けた映画音楽で、佐藤自身も思い入れのある作品として本作を挙げています。それまでCM・ドラマ音楽のみに携わってきた佐藤は、映画音楽に求められるレベルは桁違いに高く、苦戦したそうですが、映画音楽とは何か、映画とは何かを教わった作品だと後に語っています。
そんな佐藤が、いわゆる「海猿」っぽい曲を書くのではなく、海猿たちの気持ちになって書いたという5曲がこちらです。

「Umizaru」

映画「海猿」から。「海から陸に上がってエンジョイするぞ!」という海猿たちのウキウキ感とノリの良さが伝わってくるHAPPYな楽曲。仙崎が環奈(加藤あい)に「Check in!」するラブコメディーシーンやドラマ版でのダイニングバー「オーシャンズ」内外で海猿たちがワイワイ騒いだり体力対決をしたりするシーンで使用されています。

「救出」

映画「海猿」から。まだ潜水士訓練生だった仙崎が、最終訓練の際、深海の中で窮地に陥ったバディ・三島(海東健)を救おうと健闘する中、訓練生の仲間たちが規則を破り、二人を救出しに来る感動的な場面で使用されています。仙崎の最初のバディだった工藤(伊藤淳史)の死を経て、後のシリーズの基盤となる「バディを絶対見捨てない!」という仙崎の強い信念が確立された重要なシーンです。潜水士になる覚悟、信念、若き想いが込められた瑞々しくも重厚感のある楽曲。

「閉講式」

映画「海猿」から。厳しい訓練、工藤の死、三島とのバディを経て迎えた閉講式。教官の「最前線に楽しいことなんかひとつもないぞ!」という言葉に訓練生たちが一斉に答える号令シーンに胸が熱くなります。楽曲「閉講式」の徐々に盛り上がっていくドラムは、仙崎たち訓練生が一歩ずつしっかりと成長の階段を登っていく様を表現しており、中盤の青く透き通る海のようにクリアなメロディーは、困難の先には必ず穏やかな未来が待っているという激励のように聴こえます。荒ぶる時も穏やかな時も美しい時もそうでない時も海と共にある海上保安官たちの気持ちを見事に表現している楽曲です。

「LIMIT OF LOVE」

LIMIT OF LOVE 海猿 オリジナル・サウンドトラック(初回生産限定盤)(DVD付)

映画「LIMIT OF LOVE 海猿」から。遠距離恋愛で互いにすれ違っていた仙崎と環奈。しかし、仙崎はクローバー号の船内に取り残され、危機に陥った時に真っ先に浮かぶ顔が環奈だと気づきます。環奈もまた、仙崎の仕事を本当の意味で理解し、彼がかけがえのない存在だと思い知ります。クローバー号からの脱出を図る直前、外部との連絡を取ることができた仙崎は「もうすぐ俺帰るからな。そしたら結婚式をあげよう。」と環奈にプロポーズをします。そんな仙崎と環奈の「大切な人を信じること、愛すること」が込められた楽曲。力強いメロディーが多い「海猿」の楽曲の中で、ピアノのシンプルな旋律で構成された本楽曲は、仙崎の決意と環奈の溢れ出る愛と涙に丁寧に寄り添った美しく柔らかな楽曲となっています。

「LAST MESSAGE」

THE LAST MESSAGE 海猿 オリジナル・サウンドトラック

映画「THE LAST MESSAGE 海猿」から。海上に浮かぶ天然ガスプラント「レガリア」の掘削船衝突事故。要救助者の救助に向かった仙崎は足を骨折し、レガリアの船内で動けなくなってしまいます。何とか仙崎と一緒に脱出しようとするバディの服部(三浦翔平)を「自分は自力で脱出する。」と説得し、服部を一人で要救助者の救助へ向かわせます。海上保安官でいることに迷いを持つ服部に「海上保安官の仕事とは何たるか」を、身をもって示し、服部にすべてを託す仙崎。そして、その想いに必死に答え走り出す服部。沈むはずのなかった巨大なレガリアとともに海に飲み込まれていく仙崎と、それを見つめる吉岡(佐藤隆太)ら海上保安官ら、要救助者たちの想いがひとつになった瞬間に流れる楽曲。仙崎が最後に残す、愛する人たちへのメッセージに胸が熱くなる気持ちを最大限まで盛り上げる、荘厳な楽曲です。

日本アカデミー賞最優秀音楽賞受賞!映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ

ALWAYS 三丁目の夕日 通常版 [DVD]

2005年から2012年にかけてこれまでに計3作品が制作・劇場公開されている映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ。
主演は吉岡秀隆。共演は堤真一、薬師丸ひろ子、堀北真希、小雪、須賀健太など。
1974年から2017年現在まで漫画雑誌にて連載中の「三丁目の夕日」を山崎貴率いる「白組」が実写映画化。
昭和33年の高度経済成長期の東京・下町を舞台に希望溢れる未来に向かって懸命に生きる人々を描いた群像劇。原作はさまざまな人物たちのエピソードを描いていますが、本作は自動車工場を営む鈴木一家とその真向かいに住む駄菓子屋を営む小説家・茶川竜之介(吉岡秀隆)を中心に描かれています。

佐藤は、本作で第29回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。本作で初めて山崎貴監督とタッグを組んで以来、2017年12月公開予定の最新作映画「DISTINY 鎌倉ものがたり」まですべての山崎作品の映画音楽を担当しています。作曲当時のコンセプトは、「昭和っぽくない音楽にしよう。あの時代を今の時代から見た音楽にしよう。」として作られましたが、佐藤は「出来上がったテイストとしては、昭和っぽくないはずですが、映像に合わせると不思議と昭和感が出ている。」とインタビューで答えています。佐藤自身が昭和世代ど真ん中なので、他の作品もそうですが、どうしても昭和感・レトロ感が出てしまうのは否めないです。しかし、現代で求められているのは、そういう直球で人々の心にしっかりと届く力強くしなやかなで感動的な楽曲なのだと感じます。「海猿」で得た佐藤の「力強い」「男っぽい」映画音楽のイメージとは真逆な、佐藤の引き出しの多さに舌を巻く3曲がこちらです。

「ALWAYS 三丁目の夕日 Opening Title」「家族の絆」

ALWAYS 三丁目の夕日

映画「ALWAYS 三丁目の夕日」より。全シリーズの初めと終わり、そしてクライマックスで必ず流れる本作のテーマソング。夕日町の人々のさまざまな問題や想いを、一日の始まりと終わりに昇り沈む夕日がすべてを優しく包み込み、新たな一日へといざなってくれる本作の希望を象徴する楽曲です。

「初めての東京」

映画「ALWAYS 三丁目の夕日」より。集団就職で青森から東京へ上京してきた六子(堀北真希)。東京の人や車の多さに戸惑いながらも、これからの生活に期待を膨らませる六子の心境を表わした楽曲。六子の心境と東京・夕日町で暮らす人々の平和で和やかな毎日、未来には希望しかないという胸いっぱいの期待感が見事にシンクロしています。

「指輪」

映画「ALWAYS 三丁目の夕日」より。クリスマスに小説家志望の茶川からプロポーズされた居酒屋の女将のヒロミ(小雪)。お金のない茶川は指輪のない箱だけのエンゲージリングを差し出し、ヒロミに指輪をはめる仕草をします。ヒロミは涙ぐみ、「綺麗。」と嬉しそうに見えない指輪を見つめます。人が人を想う気持ちはどんなに高価なプレゼントよりも勝るという大切なメッセージが込められた楽曲。実はこの時、茶川は知りませんでしたが、ヒロミは多額の借金を抱えており、茶川たちの前から姿を消そうとしていました。ヒロミの嬉しさと切なさがない混ぜになった気持ちを知ってから、このシーンを観ると、また涙がこみ上げてくる名シーンです。

映画「るろうに剣心」シリーズ

るろうに剣心 通常版 [DVD]

2012年から2014年にかけて計3作品が制作・劇場公開されている映画「るろうに剣心」シリーズ。
主演は佐藤健。共演は武井咲、蒼井優、青木崇高、江口洋介、伊勢谷友介、神木隆之介、藤原竜也など。
動乱の幕末で“人斬り抜刀斎”と恐れられ、明治維新後は自らに“不殺の誓い”を立て、日本中を旅している流浪人・緋村剣心(佐藤健)。剣心が居候することになる神谷剣術道場に集まる仲間たちとともに、幕末の亡霊たちと戦い、過去を乗り越え、今を生きるようになるまでを描いたアクション・エンターテイメント超大作。
実写化不可能と言われた神業を、驚くべきカメラワークと俳優陣がすべて完璧に具現化して魅せ、シリーズ累計興行収入125億円突破の大ヒットを記録。世界的に人気の高い原作漫画ということもあり、世界62カ国で配給され、カナダ・モントリオールで行われた第18回ファンタジア映画祭では観客賞を受賞しました。
スリリングでスタイリッシュ、迫力のある映画「るろうに剣心」シリーズを盛り上げた3曲がこちらです。

「First Dungeon」

「るろうに剣心」オリジナル・サウンドトラック

映画「るろうに剣心」より。高荷恵(蒼井優)を救い出すために武田観柳邸の庭の手下たちを蹴散らし、屋敷内に入った剣心が一人目の刺客として待ち構えていた外印(綾野剛)と対決した際に使われた楽曲。明治になり、生きる術を失った外印と剣心という幕末の生き残り同士の哀しき決闘シーンです。本楽曲に入っている女性ボーカルは、外印を含む幕末の亡霊たちの悲鳴のようにも聞こえ、力強いデジタルサウンドが、日本映画にかつてない速さと迫力で描かれる剣心の戦いを盛り上げます。剣心を先に進ませるために戌亥番神(須藤元気)と対決している相楽左之助(青木崇高)の戦いと交互に描かれ、とても見ごたえのあるシーンに仕上がっています。
2017年9月30日公開予定の映画「亜人」でも激しいアクション対決をすることが決まっている佐藤と綾野剛の貴重な初対決シーンを、「亜人」鑑賞前に観比べてみると面白いかも知れません。

「仇敵」

映画「るろうに剣心 伝説の最期編」より。志々雄真実(藤原竜也)率いる特攻部隊「十本刀」が、煉獄に捕らえた警官たちをどんどん火の海へ落としていく圧倒的な悪のシーンと、剣心たちが志々雄のアジトとなっている戦艦に乗り込み、剣心、斎藤一(江口洋介)、相楽左之助 vs 志々雄という構図で戦うシーンで使用された楽曲。
楽曲の3分40秒過ぎくらいを聴くと、聞き覚えのある方が多いのではないでしょうか。
ゴジラ襲来を思い起こさせるバラードのオーケストラサウンドは、数人で対峙しても倒すことのできない「志々雄真実」という巨悪な存在を見事に表現しています。「伝説の最期編」の楽曲はオーケストラによるものが多く、時代劇とオーケストラという斬新な組み合わせを見事にハマらせる佐藤の手腕がよくわかる映画音楽になっています。

「飛天~伝説の最期~」

るろうに剣心 伝説の最期編 オリジナル・サウンドトラック

映画「るろうに剣心 伝説の最期編」より。映画「るろうに剣心」で剣心たちが武田観柳邸に斬り込みに行った際に使用された「飛天」をアレンジした楽曲。「京都大火編」のクライマックスでも使用されており、本シリーズ欠かせない「飛天」を、バイオリンとロック、唸るギター、女性ボーカルの組み合わせで、最高に豪華で格好良い楽曲に仕上げています。剣心、斎藤、左之助、四乃森蒼紫(伊勢谷友介)という4人で向かっても歯が立たなかった志々雄に再び向かう剣心。戦いの最中は台詞が少ないので、佐藤の感情豊かな楽曲がとても活きるんです。飛天御剣流奥義「天翔龍閃」(あまかけるりゅうのひらめき)で志々雄を倒した後、戦艦から陸に戻ると、警官たちが一斉に剣心たちに向かって敬礼をします。このシーンで流れる「飛天~伝説の最期~」が格好良いこと!!これまでの長き戦いがようやく報われたというカタルシスに胸が熱くなる、“伝説の最期”にふさわしいシーンとなっています。

映画音楽は主役を演じる俳優、映像から見える匂い、セット、衣装などすべての影響を受けて作られるので、何かひとつでも変わると違う楽曲になってしまうそうです。
そのため、佐藤は台本や映像を何十回も読み込み、時には撮影現場にも足を運び、撮影スタッフたちからパワーを貰って、1ヶ月で30~40曲もの楽曲を作曲します。
こうしてできた佐藤の楽曲は、映画から数年経ってから聴いたとしても、一瞬でその映画の世界にタイムスリップできる作品ばかりです。
自分の中に眠っていた熱い感情や体験が思い起こさせられる、感情だけでなくその映像の匂いや空気まで体感しているような錯覚を覚える。文字通り、心が震える、動かされる。
それこそが、私たちをとらえて離さない“佐藤節”と呼ばれ日本映画界に欠かせない“作曲屋”佐藤直紀の魅力なのです。

(文 / Yuri.O)