カンヌ映画祭出品!河瀬直美最新作映画「光」見どころ総まとめ!

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2017年5月27日に映画「光」が劇場公開されます。
本作はカンヌ国際映画祭の2部門の審査員であり、自身の作品もカンヌ常連である河瀬直美監督の最新作であり、主演の永瀬正敏とは映画「あん」以来、2度目の再タッグとなる作品です。

今回は、映画「光」のあらすじ、キャスト紹介、見どころなどをご紹介します。

映画「光」あらすじ紹介

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主演は永瀬正敏。共演は水崎綾女、神野三鈴、藤竜也など。
満たされず単調な日々を送っていた美佐子(水崎綾女)は、視覚障碍者向けの音声ガイドの仕事のモニターとして来ていた弱視のカメラマン・雅哉(永瀬正敏)と出会います。美佐子は無遠慮な物言いをする雅哉に苛立ち、初めはぶつかり合いますが、彼が撮影した夕日の写真に心を突き動かされ、いつかこの場所に連れて行って欲しいと願うように。
一方、命よりも大事なカメラを前にしながら、次第に視力を奪われていく雅哉。彼の葛藤を見つめながら、美佐子の中で何かが変わり始めます。監督:河瀬直美×主演:永瀬正敏が挑む“失うことで思わぬ明日を見つけられる”と気付かせてくれる美しくも切ない珠玉のラブストーリー。

タイトル:「光」
2017年5月27日(土)新宿バルト9ほかにて全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
公式サイト: http://hikari-movie.com/

映画の音声ガイドとは

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映画の音声ガイドとは、一言でいうと「登場人物の動作や情景を映像に合わせて言葉で伝える。」仕事です。
音声ガイドを製作するスタッフは、映画の翻訳並みの力量が問われ、センスや語彙力が必要で、視覚障碍者の協力モニターに何度も聴いてもらい、ベストな音声ガイドを作っていきます。
例えば、本作中では「砂像」という言葉を巡り、音声ガイドスタッフとモニター協力者が意見を交わします。
視覚障碍者には、「砂像」という言葉は発音も聴きづらく、耳馴染みもない言葉なので、パッと言われた時に想像がつかないそうです。その意見をスタッフが取り入れ、「砂で作られた女性があぐらをかいて座っている像」という言葉に変換します。
また、音声ガイドには想像したり余韻を楽しんだりする余白や間も必要で、長い言葉で説明だらけになってしまうと、楽しみが半減してしまうので、ちょうど良いバランスが難しい仕事です。作品の長さにもよりますが、音声ガイドを1本録音するのに、10人くらいのグループで2ヵ月ほどかかるそうです。

河瀬監督は、2016年の映画「あん」の音声ガイドを作ったことをきっかけに、音声ガイドを仕事にしている方たちが「監督以上に映画のことを考えていること」に感動し、本作の構想が浮かんだそうです。
しかし、河瀬監督が本作を制作したいと会議に挙げた当初は、「マイノリティを題材にして観客が入るのか?音声ガイドの説明に何分使うのか?その間に観客がつまらないと思ってしまって席を立ってしまったらどうするのか?」という否定的な意見の方が多く、苦労も多かったようで・・・。
河瀬監督は本作を「これまでで最も難産だった。」と表現し、「難しいテーマだからこそ挑戦する意味がある。ハングリーであることは表現者の活力。」と語っていました。
その結果、本作では見事に観客を惹きつけたまま、映画全体を通して、映画の音声ガイドという仕事やその苦労、得られるものなどを描いている、メッセージ性の強い作品が出来上がりました。

河瀬監督は「魂の盗人」?映画監督・河瀬直美とは

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奈良県出身の映画監督で奈良を舞台にした映画を多く作っている河瀬直美。
1997年に自身の初の商業映画として制作した映画「萌の朱雀」が第50回カンヌ国際映画祭(以下、カンヌ映画祭)カメラ・ドール賞(新人賞)を最年少27歳で受賞。
2007年には映画「殯の森」が第60回カンヌ映画祭にてグランプリを受賞。一躍国内外で脚光を浴びます。
2013年にはカンヌ映画祭のコンペティション部門の審査員を務め、2016年には短編コンペティション部門と学生映画を対象としたシネフォンダシオン部門の審査委員長に就任します。
映画「光」も第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門への出品が決まっており、今、最もカンヌに愛されている日本人監督といっても過言ではないでしょう。

そんな河瀬は、一人で監督・脚本・編集までこなしてしまうことでも知られており、撮影方法は、河瀬が生み出した映像の中に生きる人間と演じる役者との垣根をなくし、役者がリアルにそこに役として存在するまで、ひたすら役者に寄り添う方法です。
そして、河瀬がイケると思ったタイミングで、役者の耳元で一言二言囁く。
これがとても効果的で、本作に出演した藤竜也いわく、「(河瀬監督のこの行動により)たちまち根こそぎ、体ごとさらわれ、直美さんの世界に放り込まれる。河瀬監督は魂の盗人。そして役から抜け出すのが、とても大変。」と話していました。
そして、そんな役そのものをリアルに生きる役者たちを、柔らかな自然光、木の温もり、音などと同時に成立させる、それが映画監督・河瀬直美です。

映画「光」河瀬組に集まった実力派キャスト紹介

中森雅哉/永瀬正敏

アクターズ・ファイル 永瀬正敏

弱視の天才カメラマン・中森雅哉。ほんの少しですが見えているので、ITの助けを借りて一人暮らしをしています。進行性の病気で、いつかまったく見えなくなるのではないかという恐怖と向き合いながらも、平常に毎日を送ろうと必死に生きています。
「音声ガイド」のモニターに参加し、美佐子と出会います。

中森雅哉を演じているのは、河瀬監督とは映画「あん」以来2回目のタッグとなる永瀬正敏。映画「あん」の際に、河瀬監督に「作品に魂を置いてきてくれた。そういう役者はいない。」と絶大な信頼を寄せられている永瀬。本作でも、作品に「すべてを置いてきた。」と語る永瀬は、初号試写では「自分の遺作を観たような気持ちになり、感情を整理するのに一人になる時間が必要だった。」と語っていました。
また、本作では1983年の映画「ションベン・ライダー」でデビューして以来、実に34年ぶりに藤と共演しています。

尾崎美佐子/水崎綾女

「Iris Vol.2」水崎綾女1st.写真集

視覚障碍者向けの「音声ガイド」の仕事をしている尾崎美佐子。幼い頃に父親が失踪し、心にぽっかりと空いた穴を抱えながら単調な毎日を暮らしている中で、雅哉と出会います。田舎に近所の助けを借りながら一人で暮らす認知症の母親がいます。

尾崎美佐子を演じているのは、2016年に結婚を発表したばかりの女優・水崎綾女。
デビュー当時のグラビアの印象を強い水崎ですが、2006年頃から映画・ドラマ・舞台にと幅広く活動しています。映画「進撃の巨人」「HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス」などお色気系の役柄を演じることが多いですが、本作ではそれを封印し、ごく普通の現代女性が悩みながらも成長し、愛を見つけていく様子を真っ直ぐに伸びやかに演じています。
本作の完成披露試写会では、感極まり言葉に詰まる場面も。
作中の、台本にはなかったのですが、心が突き動かされ、「気づいたら体が動いていた。」というキスシーンは必見です。

北林監督/藤竜也

現在進行形の男

劇中映画の監督兼主演を勤めている北林監督。美佐子が「音声ガイド」の表現に行き詰まった際、映画の解釈についてのヒントを話します。

北林監督を演じているのは、映画「愛のコリーダ」で世界に知られる名優となった藤竜也。
日本映画の黄金期を支えた俳優の一人でありながら、現在も精力的に若い映画監督の作品にも出演し、次世代に映画魂を繋いでいる存在でもあります。本作では、劇中映画の主人公と映画監督の二役を演じ、久々にラブシーンを披露しています。

美佐子の上司・智子/神野三鈴

美佐子の上司で劇中映画のヒロインを務めている智子。美佐子を厳しくも温かく見守ります。「音声ガイド」のモニターを務める視覚障碍者の夫がいます。

智子を演じているのは、舞台・ドラマを中心に活躍する女優の神野三鈴。芸歴が長く、2017年現在51歳にして色気と度量を兼ね備えた女優ですが、意外にも映画出演は2015年の映画「駆込み女と駆出し男」「日本のいちばん長い日」に続いて3作目。河瀬に「三鈴をカンヌに連れていけて良かった。」と言われるなど、独特な雰囲気を持つ女優で、遅咲きながら、これからの日本映画界で活躍すること間違いなしです。

河瀬、永瀬、藤、それぞれのカンヌ

Festival de Cannes - Official

1997年の映画「萌の朱雀」でカンヌ映画祭カメラ・ドール賞(新人賞)を受賞して以来、2度の受賞、6度の正式招待を受けている河瀬直美。
河瀬は本作が第70回カンヌ映画祭コンペティション部門に正式招待されたというフランスからの一報を明け方に電話で知らされた時のことを、「自宅のリビングに太陽が昇り、光が差し、「光」が世界を巡る感覚になった。」と話し、電話を切った後、号泣したそうです。
これまでの作品の中で、一番「難産だった。」と語る本作。河瀬は「カンヌが当たり前だと思われる立場、状況がこれまでの映画人生の中であっても、カンヌという場所はそんなに簡単に行ける場所じゃない。レッドカーペットを踏みしめられる人は一握り。」と完成披露試写会で一言一言かみしめるように話していました。

永瀬もまた、河瀬から朝の6時過ぎに電話で一報を聞き、河瀬いわく「朝6時なのにワンコールで(電話を)とった(笑)」そうで、電話先で号泣している河瀬にねぎらい、永瀬自身も電話を切った後に号泣したそうです。
永瀬にとっても、1989年のジム・ジャームッシュ監督の映画「ミステリー・トレイン」、2016年の映画「あん」に続き、3回目のカンヌ入りとなり、3年連続でカンヌに行くのは日本人初の快挙となります。

藤にとってもカンヌは3回目となり、「もうこの年齢で絶対にそんなことは起きないと思っていた。カンヌは開催される10日間くらいの間に映画の王国が出来あがり、終わるとこつ然と消えるファンタジックな場所。」と完成披露試写会で話していました。
また、1976年に藤が主演した大島渚監督の名作映画「愛のコリーダ」は、フランスで最も上映回数が多い日本映画と言われています。

河瀬自身は「(カンヌを)狙いに言っているつもりはない。ただ撮りたいものを撮り、それがカンヌに繋がった。」という趣旨の発言を、テレビ東京系フェイクドキュメンタリー「山田孝之のカンヌ映画祭」でしています。
しかし、第70回という節目の年に、前年タッグを組み、カンヌでも好評だった永瀬と再タッグを組んだこと、フランスで高い評価を得ている藤を起用したこと、「映画の音声ガイド」というテーマを選んだことは、少なからずカンヌ受賞を意識しているのではないかと思います。
事実、フランスのメディアから河瀬への質問で「なぜ藤を起用しようと思ったのか?」というものが多くあり、カンヌ映画祭で上映前から現地でも注目を集めているようです。
河瀬は、デビュー作である1997年の映画「萌の朱雀」、2007年の映画「殯の森」で受賞をしていて、第70回という節目の年に“7のジンクス”で映画「光」が受賞できるか、国内外で期待が高まっています。

水崎綾女という“アリス”

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これまでの河瀬の作品では、映画「殯の森」の尾野真千子、映画「あん」の樹木希林、永瀬正敏など良くも悪くも実力派俳優・名優、もしくは映画「2つ目の窓」の村上虹郎など新人でもすでに光るものがある玄人向けの俳優が起用されることがほとんどでした。
しかし、本作でヒロインに抜擢されたのはグラビアやバラエティー番組で活躍しており、ドラマ・映画にも多数出演していますが、どうしてもお色気路線の役柄やコメディータッチな作品が多い女優の水崎綾女。
河瀬作品と水崎綾女?最も対岸にいる二人なのでは?と本作を観る前は不安があり、本予告編を観た後も、不安を払拭しきれない部分があったのですが、そんな心配は無用!!むしろ、素晴らしき化学反応が生まれていました。
水崎は良い意味で、河瀬組という玄人世界に迷い込んだ「不思議の国のアリス」に出てくる主人公・アリスのようで、真っ直ぐで伸びしろのある演技を披露しており、河瀬作品にはあまり見られないラブコメディーのような可愛らしいコミカルなシーンもあり、河瀬作品と「静かで難しい映画は苦手!!」という観客の橋渡しを見事に担っています。冒頭で、雅哉と無遠慮な意見に美佐子が言い返すシーンがあるのですが、美佐子の表情があからさまにカッチーンときたのがわかりやすく表現されていて、可笑しかったです。水崎が演じている美佐子の存在が物語を動かし、河瀬作品を我々により身近な映画にしたのは、間違いないでしょう。

映画「光」の見どころ

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本作の見どころは、河瀬作品の魅力の自然から得られるものの美しさ、そこに生きる人々のリアルさと、映画の「音声ガイド」という一般には知られていない仕事を、作品全体を通してわかりやすく表現し、その両者のバランスがとても良いところです。
映画好きな方なら、気になるであろう映画の「音声ガイド」という仕事を間口に、美佐子の父の失踪、それによりぽっかりと空いた心と母娘の関係、弱視により、カメラマンの仕事ができなくなり、写真が焼けてしまうということよりも日当たりの良い部屋を選択した雅哉という人間の生き様、カメラマン仲間がどんどん認められていく中で、自分はいつすべてが見えなくなってしまうのかと怯えながら暮らす毎日といった人間の繊細な感情を剥き出しに描いていて、これまで「河瀬作品は眠くて苦手!」という方たちにも観やすくなっています。
仕事場で出会った男女が最初は反発し合いながらも近づき、互いに成長し支え合っていくといった普遍的なラブストーリーであることも、誰もが共感できるポイントになっています。
本作はタイトル通り、「光」がテーマなので、高い木々が立ち上る森の中に差し込む自然光、部屋の中に差し込む温かな日差し、暗い部屋の柔らかな木の温もりといった河瀬作品の持ち味もいかんなく発揮され、「夕焼け」や「新月」などが物語のキーワードになっており、目にも耳にも繊細で美しい物語に仕上がっています。

写真家としての永瀬正敏

本作で弱視の天才カメラマン・雅哉を演じている永瀬正敏。
実は永瀬の祖父はカメラマンで、永瀬自身もカメラマンとして20年以上のキャリアがあり、不定期に個展を開くなど、国内外で評価されています。
本作の主人公・雅哉の部屋の廊下から部屋中に飾られていた写真は、すべて永瀬が撮影したものなのです。
作中での永瀬のカメラを構える手つき、カメラが身体の一部のようにしっくりきていたのも納得です。
その写真たちは小豆島にある「24の瞳映画村」にて、映画村開村30周年の新設ギャラリーの記念すべき第1回展示として、お披露目されることが決定しました。
個展タイトルは「永瀬正敏 写真展『flow』〜from“RADIANCE〜光〜”a film by Naomi Kawase〜」。展示期間は2017年4月29日〜8月31日と長く、他にも映画にまつわるイベントが多数予定されているので、映画「光」の世界観に魅了された方は、夏休み旅行も兼ねて行ってみてはいかがでしょうか?

河瀬直美が「世界一の素晴らしい映画です。」と言い切った映画「光」。
素人目に見ても、「これはひょっとしたら2度目のパルムドール(グランプリ)いけちゃうのでは?」という完璧な作品になっていますので、観ず嫌いせずに、ぜひ劇場へ足を運んでみてください。

(文 / Yuri.O)