映画の申し子!俳優・染谷将太の魅力をひも解く映画7選!

BARFOUT! 196 染谷将太 (Brown’s books)

7歳から子役として活躍し、映画「ヒミズ」「寄生獣」などの代表作を持ち、毎年ハイペースで映画に出演し続けている俳優・染谷将太
無気力や絶望した青年の役を演じさせたら右に出る者はいない「死んだ眼俳優」の代表格の染谷ですが、近年は映画「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」や「聖の青春」など生き生きとした未来を象徴するような役柄を演じることも多く、映画界のマルチプレイヤーとして、若手実力派俳優の中でも群を抜いた存在として光っています。

プライベートでは、2015年にハリウッド女優の菊池凛子と結婚し、1児のパパでもある染谷。
レッドカーペットは映画「ヒミズ」出演時に第68回ヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞した際に経験済みですが、菊池と結婚したことで海外の各映画祭のレッドカーペットを歩く機会も増え、俳優で映画監督でもある染谷は良い刺激を受けていることでしょう。

まさに “映画の申し子” と言える俳優・染谷将太の魅力を探るべく、これまでに出演した実に60作以上ある映画作品の中から、これは見逃せないという作品を7本ご紹介します。

太宰治生誕100年記念作品・映画「パンドラの匣」

パンドラの匣 [DVD]

主演は染谷将太です。
2009年に太宰治生誕100年記念作品として映画「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」「斜陽」「人間失格」など多くの作品が実写化された中の1作品として実写化された本作。
染谷の長編映画初主演作でもあります。
共演には芥川賞作家でミュージシャンでもある川上未映子、窪塚洋介、仲里依紗とクセの強い若手俳優陣が結集。

1945年終戦後の結核療養所「健康道場」を舞台に、せっかく終戦したのに結核を患い入所することになった少年・ひばり(染谷将太)が、看護師たちとの淡い恋愛模様や風変わりな入院仲間たちと過ごす中で、生きる活力を取り戻していくストーリーです。
この年に公開された太宰作品の中ではあまり有名ではありませんが、太宰独特の小難しさや重たさがほとんどなく、耳慣れたジャズが心地良く、ポップでモダンな作風なので、太宰初心者の方にぜひオススメしたい作品です。

パンドラの匣

全編、後から音入れをするアフレコ方式を取っているので、台詞が重なって聴こえたりして、閉ざされた療養所が不思議な浮世ファンタジーな世界観をもって描かれています。
染谷が演じたひばりは、終戦後に新しい自分に生まれ変わるべく人生を模索している、覇気があった頃の古き良き日本男児です。
ひばりや入院仲間たちが新しいだの古いだのと論議する姿は滑稽でもあり、可愛くもあり、クスクス笑ってしまう場面が多いです。
パンドラの箱に閉じ込められたのは「未来」という説と「希望」という説がありますが、本作は「希望」に満ちたキラキラした作品となっています。

タイトル:「パンドラの匣」
2009年10月10日(土)テアトル新宿ほかにて全国ロードショー
配給:東京テアトル

園子温が描く究極の青春映画「ヒミズ」

ヒミズ

主演は染谷将太、二階堂ふみです。
共演は、でんでん、渡辺哲、窪塚洋介、吉高由里子など園組の俳優陣が脇をしっかり固めています。
大震災後、家がなくなり河原でバラックを立て暮らす住田(染谷将太)と、自宅では実の両親が自分を殺すための道具を作っている茶沢(二階堂ふみ)。
共に15歳で同じクラスメイトである二人は親に死ねばいいのにと言われ続け育ち、そんな環境から抜け出すため、「立派な大人になる」ため、必死に耐え生きていました。
しかし、そんな日常も住田が衝動的に父親を殺してしまったことから一変。
社会や大人たちが住田を踏みにじり、住田がおかしくなってしまっても、茶沢は真っすぐに住田を愛し続けます。
園監督らしく設定は突飛ですが、耐えて耐えて耐え抜いたラストの二人の叫びは観客の心に突き刺さります。
「死んだ眼俳優」と言われている染谷の真骨頂で、異彩を放ち続ける染谷はまさに住田そのもの。
「住田がんばれ!」という思いとともに涙が溢れてきて止まらなくなる青春大爆発映画です。

小説ヒミズ 茶沢景子の悠想

二階堂も染谷と雨の中で殴り合うなどハードなシーンが多かったので、途中心が折れそうになったそうですが、園監督と染谷に「茶沢がんばれ!」と励まされ、撮影を乗り切ったそうです。

本作で染谷と二階堂は、第68回ヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞受賞をW受賞という快挙を達成。
若き二人の才能が全力で映画界に一石を投じた作品です。

タイトル:「ヒミズ」
2012年1月14日(土)シネクイントほかにて全国ロードショー
配給:ギャガ
公式サイト: http://himizu.gaga.ne.jp/

第38回日本アカデミー賞を総なめした映画「永遠の0」

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主演は岡田准一、共演は三浦春馬、井上真央、染谷将太ほかです。
百田直樹のベストセラー同名小説を実写映画化。
舞台は太平洋戦争末期の日本。「家族のために生きて還ってくる、妻との約束を守るために。」と誓い、戦闘機の操縦テクニックは一流ながらも仲間たちから臆病者扱いされていた零戦パイロットの宮部久蔵(岡田准一)は、なぜ自ら特攻し、命を落としたのか?宮部が命懸けで遺したメッセージとは?
終戦から60年目の夏、宮部久蔵の孫・健太郎(三浦春馬)が祖父のかつての戦友たちに話を聞きに行きながら、祖父の生涯をひも解いていく壮大な愛の物語です。

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染谷は宮部の遺志を継ぎ、宮部の遺された妻と子を守る運命となる若き青年・大石賢一郎を演じています。
大石は陰の主役と言ってもいいほど、映画後半の要となる存在で、宮部の思い、大石自身の宮部の妻と子への思い、戦争で大切な者を失うという苦しみ、全てを抱えながら、宮部の遺志を未来へと繋げていく若き日の大石を、染谷が説得力ある演技で応えています。

本作は第38回日本アカデミー賞最優秀作品賞など11部門を獲得
2014年の邦画No.1ヒット作品となりました。
山崎貴監督らしく、3Dに見えるほどスケールのある映像と音が素晴らしく、人と人との姿を真っすぐに描いているからこそ、心に響く、泣ける作品に仕上がっています。

タイトル:「永遠の0」
2013年12月21日(土)TOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー
公式サイト: http://www.eienno-zero.jp/

現代っ子を自然体で熱演!映画「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」

WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~ DVDスタンダード・エディション

主演は染谷将太、共演は長澤まさみ、伊藤英明ほかです。
「ウォーター・ボーイズ」「スウィング・ガールズ」の矢口史靖監督が放つ林業青春ムービー。
染谷は大学受験に失敗し、その時偶然目にした美しい女性が映っている林業パンフレットを見つけ、「彼女に会えるなら!」と軽い気持ちで携帯もコンビニもない“神去村”にたどり着き、“林業”という未知の世界へ飛び込んでいく現代っ子・勇気を演じています。
矢口監督の作品は、主役の力量次第で出来がかなり左右することが多いのですが、染谷の無気力な現代っ子のイライラ加減と都会の常識が通用しない神去村で翻弄されるコメディーっぷりのバランスが絶妙で、声を出して笑いっぱなしの2時間です。
勇気が村の子どもに「お尻をヒルに食われたやつだー。」と言われた瞬間にスパーンと子どもの頭を叩く思いっきりの良さとタイミングが完璧で、染谷のコメディー俳優としてのポテンシャルの高さをうかがうことができます。

WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~ Blu-ray 豪華大木エディション

前半は慣れない生活と林業に文句ばかり言っていた勇気の顔つきが日に日に変わってきて、最後の方は邪気ゼロの生き生きとした満面の笑みで村の行事に参加するまでに成長していくさまに明日の活力を貰えます。
「死んだ眼俳優」代表と言われている染谷ですが、ちゃんと目の中をキラキラさせて明るく素直な等身大の若者を演じきっています。

タイトル:「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」
2014年5月10日(土)TOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー
配給:東宝
公式サイト:https://www.toho.co.jp/movie/lineup/wood_job.html

大型映画初主演!映画「寄生獣」「寄生獣 完結編」

寄生獣 Blu-ray 豪華版

主演は染谷将太、共演は阿部サダヲ、橋本愛、深津絵里ほかです。
ごく普通の高校生だった泉新一(染谷将太)はある日突然現れた人喰いパラサイトに右手を食われてしまいます。新一の右手に宿った「ミギー」(声:阿部サダヲ)と名乗る人喰いパラサイトは、新一に共同生活を持ちかけ、新一もやむなく共生に同意しますが、新一の周囲にもどんどんパラサイトたちが人間に成り代わり現れるようになって・・・。
寄生する側とされる側の不思議な友情と「寄生獣」が現れた目的とは?最後に生き残るのは人間か?パラサイトか?を描いた二部作のアクション・エンタテイメント超大作です。

寄生獣 完結編 DVD 通常版

ミニシアターを中心に活躍し、映画ファンの間では主役級俳優として有名だった染谷ですが、ついに大型作品!しかもエンタメ作品の主演に!!
そして、バディものも初、ガッツリラブシーンも初、2階から飛び降りちゃうようなアクションも初!と初めて尽くしの超大作だったわけですが、実は染谷は山崎貴監督とは映画「ALWAYS 三丁目の夕日’64」「永遠の0」などを含め4度目のタッグなんです。

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山崎監督は「染谷は微調整可能なものすごく細かいダイヤルを振られているお芝居のテクスチャを持っていて、それが一見、荒唐無稽なものが出てきても、現実と地続きだと信じさせる“魔法”を持っている。」と語っており、染谷も「自分の芝居の質感を1ミリ、2ミリ単位で微調整し、話し合っていく感覚。」だったとインタビューで語っています。
染谷は本作での山崎監督に対し、「いつも以上に擬音での指示が多かった。」と語っていますが、それもこれも二人の強い信頼関係があったからこそなのですね。

もともと、パントマイムが得意だという染谷のミギーに体ごと引っ張られるお芝居の巧さにも注目です!

タイトル:「寄生獣」「寄生獣 完結編」
2014年11月29日(土)TOHOシネマズ スカラ座にて全国ロードショー
2015年4月25日(土)TOHOシネマズ スカラ座にて全国ロードショー
配給:東宝
公式サイト: http://www.kiseiju.com/index.html

グランドホテル方式で描くしみじみと心に響く映画「さよなら歌舞伎町」

さよなら歌舞伎町

主演は染谷将太、共演は前田敦子、イ・ウンウほかです。
今、若手俳優が最も出演したい監督の一人、廣木隆一が描くラブホテルの一日に起きた悲喜こもごもを描いたアンソロジー。
染谷は一流ホテルで働いていると彼女や家族に嘘をつき、ラブホテルの店長をしている徹を演じています。
その日、徹の働くホテルには、地元で保育士をやっているはずの妹(樋井明日香)がAV女優として訪れたり、同棲中の彼女・沙耶(前田敦子)が枕営業で訪れたり、なじみのコールガール(イ・ウンウ)がトラブルに巻き込まれたり、徹にとってはツイてなさすぎる一日。そのたびに見せる徹の顔が、なんだかんだで頼れる店長の顔、男の顔、兄の顔と色々忙しく変わっていくのが、人間の可笑しみや切なさが詰まっていて、登場人物たちは人生の修羅場なのに、観てるこちら側は思わずほっこりしてしまうシーンが満載です。

【チラシ付映画パンフレット】 『さよなら歌舞伎町』 出演:染谷将太.前田敦子.大森南朋

男女間のあるあるが集約されているような会話劇や男女の反応の仕方の違いなどがリアルで、新宿・歌舞伎町の空も身近で、新宿・歌舞伎町で夜遊びや夜を明かしたことがある方には絶対観ていただきたい作品です。

タイトル:「さよなら歌舞伎町」
2015年1月24日(土)テアトル新宿ほかにて全国ロードショー
配給:東京テアトル
公式サイト: http://sayonara-kabukicho.com/

細田守の大ヒット作でメイン声優を務めた映画「バケモノの子」

バケモノの子(スタンダード・エディション) [DVD]

声の主演は役所広司、共演は染谷将太、広瀬すず、大泉洋ほかです。
映画「サマー・ウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」などの細田守監督最大のヒット作
ある日、天涯孤独となった少年・蓮(声:宮崎あおい)は「独りで生きたい。」と願い、渋谷の街を彷徨っているうちにバケモノの世界に迷い込んでしまいます。
おなじく暴れ者でひとりぼっちのバケモノ・熊徹(声:役所広司)は少年を「九太」と名付け、弟子にすることに。
それから8年―九太(声:染谷将太)は熊徹にメキメキと鍛えられ、すっかり逞しい青年に。熊徹もまた九太を鍛え育てるうちに自己流武術が上達し、宗師候補として周囲からも認められるようになっていました。
共に生活し、鍛錬を積むことで実の親子以上の絆で結ばれていった熊徹と九太。
しかし、偶然、人間界に戻る道を見つけた九太は自分が本当に生きるべき世界はどこなのか模索し始めていました。
そんな時、人間界とバケモノ界を揺るがす大事件が勃発。
熊徹と九太は己が大切にしている世界を守ることができるのでしょうか?
エンターテイメントの王道を極めた<新冒険活劇>のはじまりです!

バケモノの子 (角川スニーカー文庫)

染谷は映画「おおかみこどもの雨と雪」に引き続き、本作では青年期の九太の声優を担当しています。
染谷は九太を知る上で、幼少期を演じた宮崎あおいの声を聴いてからアフレコに入ったそうで、九太を演じる上で大変影響を受けたと語っています。
日本映画界の最前線をひた走る二人ですが、これまでガッツリとした共演はなくても、こんなところで影響し合っていたのだなとニヤリとしてしまうエピソードですね。

バケモノの子 (スペシャル・エディション) [Blu-ray]

細田監督のアフレコは特徴的で、ひとつは声優ではなく俳優を多く使うこと。
これは声で幅広い演技ができることと、人気声優陣を揃えるのはスケジュール的に厳しいからだそうです。
もうひとつは、アフレコは基本、順撮りでキャストが全員揃ってやることです。
その中で染谷は「役所さんが熊徹として大きな力強いエネルギーを発していたので、そこに乗せられて、その分返せた。」とインタビューで語っています。
九太の親に反抗したい少しひねくれた部分も染谷の得意とするキャラクターで、親と子は自分の写し鏡だということがよくわかるストーリーとなっています。
染谷は、実写映画では正義のために声を上げたり、感情をむき出しにするタイプの役は少ないので、感情のままに素直に行動する九太は、染谷の新たな一面を見ることができるキャラクターです。
反抗期のお子さんを持つ親子や一人暮らしを始めた若者にぜひ、観ていただきたい作品です。

タイトル:「バケモノの子」
2015年7月11日(土)TOHOシネマズ スカラ座にて全国ロードショー
配給:東宝
公式サイト: http://www.bakemono-no-ko.jp/index.html

いかがでしたか?
2017年は映画「PARKS パークス」「3月のライオン」の公開が控えています。
そして、2018年公開予定のチェン・カイコー監督の映画「空海 –KUKAI-」では、なんと主役の空海を演じることが決まっている染谷。
これまでさまざまな作品で色々な顔を見せてきた染谷ですが、まさか「空海」にいくとは!
常に予想の遥か上をいき、期待以上の演技で私たちを魅了してくれる俳優・染谷将太からますます目が離せませんね!

(文 / Yuri.O)